「ステンドラ」とは、シアリスに続いて開発された超即効性のED治療薬で、有効成分はアバナフィル。200mg錠、100mg錠、50mg錠の3種類の錠剤があります。インターネットの口コミで使用感を見たりすることができますが、添付文書等の公式のドキュメントではどのようなが記載なされているのでしょうか。
ステンドラ(有効成分:アバナフィル)は、元来は日本で開発が進んでいた薬剤です。アジア発のED治療薬には他にも韓国の東亞製薬が製造・販売を行っている「ザイデナ(有効成分:ウデナフィル)」があり、これは2005年に販売を開始しており、ステンドラはその前に登場したED治療薬です。地域によっては「スペドラ」という名前で販売されていることもあります。
日本の田辺三菱製薬株式会社にて開発が進められていましたが、その後2001年の2月にアメリカのヴィーヴァス社に日本およびアジアの一部を除く全世界における開発および販売権を許諾しています。ED治療薬のシェアを占める3剤はいずれも世界的な製薬メーカーによって製造・販売されており、新規参入してシェアを奪っていくには日本発では厳しいとの判断があったのかもしれません。ステンドラは超即効性があり「第4のED治療薬」と言われています。
用量
錠剤のタイプは50mg錠、100mg錠、200mg錠の3種類があり、いずれも錠剤に用量の刻印があります。標準用量は100mg錠とされていますが、有効性・忍容性を見つつ、性行為の前、約15分に200mg錠まで服用することができます。効果がややマイルドな事や、安全性の高さ、副作用の少なさから、臨床上は200mg錠を服用している方が殆どのようです。
飲み方
ステンドラの大きなセールスポイントの一つに「即効性が高い」という点があります。既存のED治療薬の中で最も即効性の高いレビトラが、Tmax(血中濃度が一番高まる時間)が30分~1時間なのに対して、ステンドラは30~45分とそれを上回る結果を出しています。早い方で10~15分で効果が現れ、服用は性行為前の直前でも問題ありません。
食事の影響
添付文書によると、食事をした直後の服用でも効果が現れており、「食物の有無にかかわらず服用します」とされています。実際には、どのED治療薬も空腹時と比較して即効性、ED改善効果が下がってしまうので、ステンドラを服用する際は空腹時が一番適していると言えます。
禁忌・併用注意
その他のED治療薬同様に、硝酸塩、一酸化窒素供与剤、抗不整脈薬との併用は禁忌とされています。
また、アバナフィルの血漿濃度を極端に上昇させてしまう危険性があるため、CYP3A4阻害薬(ケトコナゾール、リトナビル、アタザナビル、クラリスロマイシン、インジナビル、イトラコナゾール、ネファゾドン、ネルフィナビル、サキナビル、テリトロマイシン等)を使用している方、またはアバナフィルに対して過敏症の既往歴のある方も服用はできません。エリスロマイシン、アンプレナビル、アプレピタント、ジルチアゼム、フルコナゾール、フォスプレナビア、ベラパミル等の併用療法中程度のCYP3A4阻害薬は、1日の服用を50mgまでとしてください。
リオシグアトなどの「グアニル酸シクラーゼ刺激物質」を服用している方は、ステンドラを服用しないでください。
副作用
以下の一覧は、ステンドラで起こった2%以上の有害事象を、3か月間にわたって見た場合の発生率を表にしたものです。試験において、患者の平均年齢は56.4歳(23~88歳)、白人は83.9%、黒人は13.8%、アジア人は1.4%、ヒスパニックは1%未満となっています。41.1%が過去または現在喫煙していた方で、30.6%が糖尿病患者でした。
有害事象 | プラセボ(n=349) | ステンドラ50mg(n=217) | ステンドラ100mg(n=349) | ステンドラ200mg(n=352) |
頭痛 | 1.7% | 5.1% | 6.9% | 10.5% |
フラッシング | 0.0% | 3.2% | 4.3% | 4.0% |
鼻づまり | 1.1% | 1.8% | 2.9% | 2.0% |
鼻咽頭炎 | 2.9% | 0.9% | 2.6% | 3.4% |
背中の痛み | 1.1% | 3.2% | 2.0% | 1.1% |
以上からバイアグラ、レビトラ、シアリスのED治療薬と比べ、ステンドラの副作用の頻度が比較的低いことが分かります。頭痛などの副作用が多い点はバイアグラに近いかもしれません。
アバナフィル製剤には、ヴィーヴァス社製のステンドラ以外にも、田辺三菱製薬より中国、香港、マカオ、台湾、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムにおいて独占販売権の契約を結んだ、メナリーニ・アジアパシフィック・ホールディングスの「スペドラ」、サンライズレメディーズの「アバナ」などがあります。
サンライズレメディーズのアバナには、早漏治療の有効成分ダポキセチンという成分を含んだ「スーパーアバナ」も存在しますが、それを除けば、全て主成分をアバナフィルとしており、ステンドラと同一の効果を持ちながらもコストを抑えられたジェネリック医薬品です。服用方法、効果、副作用も同じです。
現在ステンドラを含むアバナフィル製剤は日本での販売がありませんので、入手するには一部のED専門クリニックを受診するしかありません。この個人輸入代行やネット通販など通信販売業者を利用すると、その6割近くが含まれている成分が異なる偽物の薬剤であったとする調査結果もでており、個人輸入の代行業者を利用しないようにしましょう。ED治療薬の処方は、必ず専門のクリニック、医療機関で受けるようにしましょう。
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